紛争・平和構築

2008年9月23日 (火)

ラジオ(東京FMクロノス)出演

皆さんこんにちは。JENカブール事務所長の柴田哲子です。

ラジオの取材を頂きましたkaraoke

放送時間が若干朝早いのですが、爽やかな朝の空気fuji
味わいながら、お聞き頂ければと思います♪

番組名:東京FMクロノス80MHz(JFN全国38局ネット)

放送日:2008年9月24日(水)6:15am~←明日の朝です!!
   (生放送のため変更になる可能性があります)

お話しした内容は、
1:最新のアフガニスタン情勢
2:現在の支援の形態・内容
3:現地の人々の、いま最も切実なニーズは?

です。

宜しければ是非お聞き下さい☆

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2008年9月22日 (月)

いのちの価値

皆さんこんにちは。JENカブール事務所長の柴田哲子です。

先日、Human Rights Watchが、“‘Troops in Contact’:
Airstrikes and Civilian Deaths in Afghanistan”

というレポートを発表しました。

同レポートによると、2006年~2008年7月の約2年半で、
アフガニスタンでは3,102人の民間人が、テロや米軍等の
誤爆の被害を受け亡くなっているとのこと。

うち、少なくとも724人が米軍やNATO軍の誤爆による直接の
被害者だそうです。

同レポートの内容を要約すると、

・空爆被害により、国内避難民の増加を招いている。

・空爆には「計画的空爆」と、地上部隊応援のために急遽出動を
 求められる「突発的空爆」の二種類があり、一般市民の被害は、
 前者では殆どなく、後者のケースで著しい。

・「突発的空爆」の場合、国際人道法の、一般市民の人命被害を
 最小限に止める義務に従っているか疑問の余地がある。

・タリバンやアルカイダ等の反政府勢力も、意図的に一般の村に
 逃げ込むことで、一般市民の犠牲者を増やしており、これも
 国際人道法に反する行為である。

・米軍やISAFによる市民の犠牲は、米軍やISAF軍に対する憎悪を
 増加することに加え、反政府勢力に対する支持の増加につながる
 可能性もある。

===
9.11の記念式典では、多くの犠牲者の家族が、愛する人の死を
悼んでいました。
そしてその様子はCNNやBBC、その他のメディアを通じて世界中に
放映されました。

一方、アフガニスタンの村では、世界からの注目等殆ど集めない
中、さまざまな悲劇が、9.11の犠牲者と同じように普通の日常を
営んでいた人たちに、突然降りかかっています。

家族の誰かが突然亡くなる悲劇。
自分自身が大けがを負う悲劇。
なんとか生き延びても、家や家財道具を一切失い、暮らす当てが
なくなってしまう悲劇。
もしくは、またいつ攻撃があるかもしれないという恐怖感のため
村を捨てなければならなくなった悲劇。

例えば、先述のレポートでは、以下のような事例が挙げられています。

2007年3月4日、カピサ州のニジラブ地区では、土造りの家に
投下された米軍機による2発の2,000ポンド(約1トン)の爆弾により、
9人の民間人(女性5人、子ども3人、老人1人)が死亡した。

生存者である7歳のムジブ君は、ジャーナリストに対しこう語った。
「僕はお母さんと妹と弟とおじいちゃんが死ぬのを見たよ。
 僕たちの家も壊されたんだ。」

その後の報道によると、同日朝、地元のタリバンリーダー達が
ニジラブの軍施設に対しロケット弾を発射、被害者はなかった。
その後、米軍機のパイロットが、ライフル銃を持った2人の男が
周辺地域から民家に逃げ込んだのを確認し、米軍による1時間に
わたる迫撃砲の集中砲火が行われ、最終的に2発の爆弾投下に
終わった。

同レポートでは、米軍は攻撃対象となった民家には民間人が
居住していることを知っていた可能性があり、国際人道法に
抵触すると指摘しています。

ちなみに、約1トンの爆弾2発とのことですが、先日の大災害となった
イスラマバードのマリオットホテルでの自爆テロで使用された爆薬の量が
1トンだったと言われています。その際の被害映像や、10km離れた場所で
体感できた振動や爆音などからも、1トンの爆弾による破壊力の大きさを
推察できます。
しかも、米軍が使用する爆弾なので、マリオットのケースに比べ、より
効率性の高いものだったと考えられます。

===
3,102人の被害者それぞれに、家族があり、生活があり、人生がありました。
いままた忘れられつつあるアフガニスタンで、今日も起きている悲劇です。

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2008年8月31日 (日)

ありがとう

皆さんこんにちは。JENカブール事務所長の柴田哲子です。

日本人誘拐殺害事件が発生してから、たくさんの方々から
安否を気遣うメールやコメントを頂きました。

この場を借りてお礼を申し上げます。

色々な場所から、心配して気遣いの連絡をくれる
知人・友人達の存在に、とても勇気づけられ
パワーを頂きました。
本当にありがとうございました。

おかげさまで、ジェンのスタッフ一同、治安に配慮しつつ
活動を継続しています。

===
アフガニスタンの治安を考えるときに、思い出す
事件があります。

2007年の初め頃だったでしょうか。
カブールで一人の自爆テロ未遂犯が捕まりました。
彼は、パキスタンの難民キャンプでで長年暮らした
アフガニスタン人。
パキスタン国内で仕事がないまま、また事情があったためか
祖国にも帰れず、先の見えない生活を送っていたそうです。

そしてある日タリバンから自爆テロの実行を持ちかけられた。
金額は明示されていませんでしたが、自爆テロに成功したら
難民キャンプで暮らす彼の家族を一生面倒見るというオファー
だったそうです。

それ以外選択肢がなかった彼は、タリバンのオファーを受け、
カブールに自爆テロ犯として潜入したのでした。

===
国際協力とは、「ひとつでも多くの選択肢を作るための側面
支援をすること」だと考えています。

究極の選択をせざるを得ない人びとが増えることが、
社会不安や、タリバンのような組織が育っていく土壌を
醸成すると思います。

だからこそ、人びとが一つでも多くの選択肢を持てるように
支援を継続していくことが重要だと思うのです。

カブール市内のバスターミナルにて、日雇い仕事を求めて集まる人びと

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2008年8月27日 (水)

日本人誘拐事件について(2)

皆さんこんにちは。JENカブール事務所長の柴田哲子です。

昨日発生したペシャワール会の職員の方の誘拐事件、
本日とても残念な結果になったとの報道がありました。

ペシャワール会は、現地に根差した、ニーズに合った、
きめ細かい支援を行ってこられた団体だと存じています。
報道によると、被害に遭われた伊藤さんは、5年間も
ナショナルスタッフと寝食を共にし、農業指導をされて
いた由。

現地で生活したことのある外国人なら誰でも共感頂けると
思いますが、「アフガニスタンで」「ナショナル
スタッフと寝食を共にし」「長く」暮らすということが、
どれだけ大変なことかというと、実は筆舌に尽くし難い
ことなのです。

それを5年間も続けられていたということだけでも、
現地に根差した活動をされて左証でしょう。

ペシャワール会の方々やご家族の皆さん、何より
現場で活躍されていた伊藤さんご本人の無念を思うと
非常に形容しがたい思いで一杯になります。

伊藤和也さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

===
今回の事件で懸念されるのは、前回書いたように、
十羽一絡げにアフガニスタン=危ない議論になってしまうこと

加えて、ペシャワール会さんの責任を追求する
ような議論になってしまうことです。

話がそれるようですが、問題の解決には、まずは問題の
特定が必須です。
そして、問題の特定のためには、報道等の2次情報や
それらの解釈等の3次情報ではなく、1次情報を集める
ことが不可欠です。

今回の犯行の背景については情報が錯綜しており
未だ予断を許さない状況にあるかと思います。
しかしながら、ひとつだけ確実に言えることは、
今回の事件の発生要因には、様々な要因が複雑に
絡んでいるということです。

===
例えば、タリバンの広報官が犯行を認める声明を
出したようですが、一方で、犯行の認知まで若干
タイムラグがありましたよね。

現在のタリバンは、1994年に、ムジャヒディンの跋扈で
荒廃したアフガニスタンに流星のごとく現われ、
(多分に原理主義的解釈ではあったものの)イスラムという
規範に基づいて治安を確立・国内を制定した初代タリバン
からは大きく変化してきていると言われています。

政治的な目的で犯行を行う集団、自己の勢力拡大を目指す
集団、そして単なる犯罪目的の集団等々、指揮系統の
統一が失われてきていると言われています。

そもそも様々な集団の寄せ集めであったことや、
一度解体されてから既に10年以上が経過している
ことなどからも納得できる話です。

タリバンと言われる集団のこのような経年変化も、
アフガニスタンの現在の治安悪化に影響を与えていると
言えるでしょう。

===

話は戻りますが、このようなタリバンの経年変化
という情報については、現地の地の利や情報ソース等がない限り
離れたところではなかなか確認できない内容ではないでしょうか。

JENは、ホームページでも伝えていますが、
今回の事件のようなことが再び起こらないためにも、また
アフガニスタンの治安回復のためにも、支援の継続が重要だと
考えています。

JENは、治安情勢に配慮しつつ、職員の安全を確保しつつ活動を
継続していきます。

安全を確保した活動の継続のためにも、大局観を持った情報の収集は
必須であり、そのためにも、現地での活動継続が必要だと考えています。

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2008年8月26日 (火)

日本人誘拐について

皆さんこんにちは。JENカブール事務所長の柴田哲子です。

先週末、アフガニスタン出張からイスラマバードに
戻って来ました。
アフガニスタンでの出張時の様子はまた別途アップしますね。

ところで、本日、アフガニスタン東部のナンガハール州で、
ペシャワール会の日本人NGO職員が誘拐されたとのこと。

ペシャワール会は地元に密着し長く活動を続けていた団体と
聞いています。
私も赴任前に、ペシャワール会代表の中村哲先生の本を
何冊か読ませて頂きました。
地元密着の姿勢、そしてその時に必要とされる支援を
何としても届けるという姿勢に、大きく感銘を受けたことを
記憶しています。

残念ながらJENの活動地と離れていることもあり、
アフガニスタンへの赴任後も直接ご面識を得る機会は
なかったのですが。

いずれにしても、誘拐された人たちが一刻も早く
無事に解放されることを祈っています。

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2008年8月18日 (月)

治安維持と人道支援

皆さんこんにちは。JENカブール事務所長の柴田哲子です。

アフガニスタンでは、現在カブールの治安維持責任は
多国籍軍(ISAF:International Security Assistance Force)に
属しています。

これが、近日中にアフガニスタン国軍(ANA:Afghan National Army)に
移譲されることになっています。

ISAFとANAの装備や人材等々の違いを理由に、
この責任の移譲を契機に、カブールの治安が大幅に悪化するのでは、
との見方が大勢を占めているようです。

ところが、先日のANSOのCountry Directors Meetingにて、
上記の責任の移譲が治安にもたらす影響について
ANSO及び出席者のCountry Director達に意見を
求めてみたところ、かなり意外な、と同時にある意味
当然と言えば当然の反応が返ってきました。

例えば、こんな感じ。

「フッ(鼻で笑う音)。治安維持だって~?!ISAF軍が
 市内を通るたびに市内の大部分が通行止めになって
 足止めを食らってテロに巻き込まれる危険性が高まったり、
 ISAFが一般市民を巻き添えにしたり、ISAFのお陰で攻撃
 されるような状況を治安というならね~。ハハハ~ッ。」

参加していたのは、殆どが欧米のNGOでした。

===

現在のアフガニスタンにおける治安維持と人道支援について
考えるとき、2つのポイントがあると考えます。
第1は、アフガニスタンの国民感情。
第2は、反政府勢力の反応。

第1点目については、上記のANSO meetingでの回答に
あるように、交通が頻繁に遮断されるだけでなく、民家への
誤爆や市内での一般市民の殺傷等が頻繁に起きている
ことは周知の事実です。

したがい、アフガニスタンの一般市民からすると、
たとえ治安維持のために来ているとしても、やはりISAFに対し
好意的な感情を持つことは非常に難しいようです。

ISAFは、そのような状況を改善する目的もあり、
Provincial Reconstruction Team (PRT)による復興・開発事業を
実施しています。

しかしながら、戦車に乗ったフル装備の軍人が、学校で
子ども達に文房具を配ったり、クリニックで病人を診察をしたり、
はたまた建設事業を監督したりという状況には、こちらが
非武装であることもあり、アフガニスタンの一般市民でなくても
非常に違和感を感じると同時に、やはり単純な恐怖感を感じます。

アフガニスタンのどの場所でも耳にする言葉。
「欧米は自国の国益のために支援をしているけれど、
 日本は純粋にアフガニスタンのための支援をしてくれている」

これは、既述のような事実の積み重ねから、少しずつ醸成されて
いった感情なのだと思います。

このような環境の中で、人道的目的でアフガニスタンを訪れ
活動を続けている欧米のNGOが、日本のNGO以上の困難に
直面しているであろうことは、容易に想像できます。


加えて、第2点目。

先日のLogar州でのNGO職員の殺害に関連し、
タリバンが、カナダ軍が派兵を中止しなければ、
今後もカナダ人を殺害していくとの声明を出しました。
記事①
記事②
その他

この声明が、現政権下での混乱の醸成を目的としていることは
明らかです。

先日も書いたように、治安の安定しない場所であるからこそ
より高い人道支援のニーズが存在します。

しかしながら、例えばチェチェンレベルまで治安が不安定化して
しまった場合、人道支援団体の活動自体が不可能になって
しまいます。

人道支援の実施に際し、ある程度の治安の安定は不可欠です。

その観点からすると、外国軍の派遣がどれくらい治安の安定に
寄与しているのかという点については、慎重に検証する必要が
あると思います。

現在のアフガニスタンの状況を見ると、治安維持のために
来ている外国軍ですが、残念ながら当初の目的とは異なった
状況を生み出していると言わざるを得ないように思いますが、
如何でしょうか?

===
そして、このような状況を踏まえて今後懸念されることは、
治安悪化が激化することにより、人道支援団体が支援を停止
した時の社会的なインパクトです。

真に支援を必要としているにもかかわらず、治安の不安定化のため
支援が届かない地域や人びとが多数でてくることによる混乱や不安定化。

加えて、国際支援以外に主要な産業が育っていない
アフガニスタンにおいて、支援団体が撤退することによる
雇用者とその家族、引いては社会全体に与えるインパクト。

今回事件に遭ったIRCは、支援の一時停止を表明していますが、
アフガニスタンの事業規模は、国際スタッフ10名、
ナショナルスタッフ500名とのことです。

アフガニスタン人の家庭では、両親、夫婦、その兄弟、
子ども達というように、一般的に数世代・十数名が一緒に
暮らしています。
その中で稼いでいるのは、例えば夫とその兄弟のみ。

つまり、2人程度で10人以上の規模の大家族を養っている
家庭が殆どです。

IRCだけでも、単純計算で約6千人の生活に影響を
与えることになります。

仮に、撤退や活動の一時停止を行う国際支援団体が
今後も出てくるとすると、そこで働いているスタッフと
そのスタッフにより生活を支えられている家族に
大きなインパクトがあることは間違いありません。

ことほど左様に、直接的・間接的に、タリバンの思った通りの
不安定な状況が醸成されていくことになることが、
現在のアフガニスタンが内包する大きな懸念と言えます。

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2008年8月13日 (水)

治安について-ロガールの事件で思うこと

皆さんこんにちは。JENカブール事務所長の柴田哲子です。

本日、カブールの南に位置するLogar州で
IRC(International Rescue Committee)の
国際スタッフ3名とアフガニスタン人ドライバー1名が
移動中に襲撃・殺害されたようです。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/7558076.stm
http://in.reuters.com/article/domesticNews/idINSP28185020080813

Logar州は、最近とみに治安の悪化が指摘されており、
ANSO(Afghanistan NGO Security Office)でも
移動等は検討した方が良いと言われていました。

事実Logar州では、中央部ではWardak州に次いで
2番目に多くの反政府武装勢力による事件が発生しています。

===
今回の事件で非常に違和感を感じるのは、3人もの女性が
殺害されているということです。

アフガニスタンの文化的に、女性を殺めるということは
馴染みがありません。

この点からも、そのような勢力の侵入を許す程、
情勢が不安定化しているとも考えられます。

アフガニスタンの状況が大きく変わりつつあるのかもしれません。

===
さて、このような事件が起こると、何故そのような地域に?
という議論が発生すると思います。

このニュースが入る前でしたが、今日はANSO の
Country Directors Meetingに出席してきました。

各国NGOのCountry Directorが集まって、
現在のアフガニスタンの治安情報や各NGOの見解や対策を
シェアするものです。

本日は50~60名のCountry Directorが参加しており
今回被害に遭ったIRC以外にも、治安の悪い地域で
活動を続けているNGOが多数ありました。

いずれにしても、このような状況でも、これほど多くの
NGOが活動を継続しているということは嬉しい驚きでした。

やはり治安やアクセスが悪ければ悪いほど、人道支援の
ニーズが多くあるからというのが、既述の問いへの回答なの
だと思います。

もちろん、各ソースから十分に情報を収集し分析した上で、
それぞれが活動する地域情勢に合わせた対策を取ることは当然です。

ただ、このような事件が起こるたびに、十羽一絡げにして
アフガニスタンは危ないという議論をするのは、
思考停止に陥った議論だと思います。

そのような思考停止の議論をベースに、アフガニスタンから
国際支援の手が引いていくことは、
過去の悲劇を繰り返す危険性を孕んでいると思います。

もちろん、他の国に比べればアフガニスタンの治安状況が
悪いことは全く否定するものではありません。
しかしながら、アフガニスタンの中でも、地域によって
治安状況に差があるというのは、他の国と同様だと思います。

大局観を失わずに、過去の悲劇を繰り返さないように、
必要な対策を取りながら、行動を続けることが必要だと思います。

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2008年7月27日 (日)

気になること②:エキセントリックな噂話

皆さんこんにちは。JENカブール事務所長の柴田哲子です。

久々ですが、アフガニスタン出張時に気になったこと、
その2です。

それは、アフガニスタンの人びとの、他国の人びとに
対する猜疑心の高まりを表わすような出来事です。

スタッフの一人と話していた時のこと。
「ここだけの話ですが・・・」というような感じで、
スタッフが打ち明けてきたことがありました。

その話というのが、アフガニスタンの東部にある
特殊な鉱物資源の鉱山から資源が盗まれている、
というものでした。

そのスタッフによると、欧米の特殊部隊が、
誰も見ていない真夜中の時間帯に、特殊ヘリで
その鉱山に飛んできて、鉱山資源を盗掘している
というのです。

確かに、アフガニスタンの未発掘鉱物資源の
ポテンシャルについては、最近注目されているようです。

とは言え、特殊部隊が当該国の許可なく、且つ条件の悪い
夜中に資源を盗掘するなど、普通に考えればあり得ない話と
判断できます。
しかしながら、アフガニスタンは噂の国なので、
この話を信じている人はかなりいると思われます。

===

なぜこのようなあり得ない話を簡単に信じ込んでしまうのか。
それはアフガニスタンの歴史を振り返ってみると容易に
推察できます。

四半世紀以上もの間、紛争の続くアフガニスタンですが、
自国からしかけた紛争は殆どありませんでした。
殆どが周辺国や第三国からの干渉によるものです。

そのような歴史を振り返ってみると、他国に対して
猜疑心を持たない方が難しいのかもしれません。

また、近年になっても、治安制定のために入ってきているとはいえ、
たびたび民間人を巻き添えにした事件を起こしている
欧米の軍隊に対し良い印象を持っている人はあまりいないでしょう。

このような悲しい歴史が、既述のようなエキセントリックな
考え方や噂に繋がるとの仮説に思い至り、複雑な気持ちを持ったのでした。

Cimg1253
本文とは関係ありませんが、開発の進むカブール。
土れんが造りの伝統的な家々の向こうで、建設される新しい住宅。
お菓子の家のようなキュートさ。素敵なセンスです(笑)。

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2008年7月10日 (木)

気になること①:援助疲れ(その2)

皆さんこんにちは。JENカブール事務所長の柴田哲子です。

(前回アップした記事に書き加えています)
さて、前回は、アフガニスタンの人びとの側から見た
援助疲れの要因について考察してみました。

今回は、支援する側の援助疲れの要因について考えてみたいと思います。

国際協力に携わっている方には自明のことかと思いますが、
開発途上国での支援事業が、予定通りに進むことはまずないと思います。
それが支援事業の悩みでもあり、チャレンジングなところでもありますよね。

しかしながら、アフガニスタン支援の場合、それ以上の困難さが
存在するように思います。

第一に、治安の悪化と日々強まるストレス環境。

治安は年々悪化傾向にありますが、セレナホテルの襲撃事件や先日発生した
インド大使館の襲撃事件等、民間人を大幅に巻き込むタイプのテロが
発生して以降、国際支援団体に属する国際スタッフの行動は大幅に制約されています。

息抜きに外に出ることもままならず、宿舎とオフィスを往復するだけ。
宿舎とオフィスが一緒になった組織では、外出が殆どできません。
レストランや日用品の買い物に出ることもできないとなると、
本当に厳しい状況です。

第二に、アフガニスタンの長期紛争を要因とした人材不足。

25年以上の紛争は、当然のことながら、人びとから教育機会や
職業人として経験を積むべき機会を奪ってきました。
したがい、エンジニアなど机上の知識に加え実務経験が不可欠の人材が
著しく欠如しています。
また、オフィスワークをこなすスタッフについても、実務経験やスキルを
持っている人を探すのはとても難しい状況です。

援助の受け入れ機関である各省庁では、省庁や部署にもよる
でしょうが、月給は約50ドル程度。現在のアフガニスタンの物価を
考えると一家族が普通に生活できる金額ではありません。
そのような環境に、援助受け入れ業務をスピーディーにさばける役人が
集まるとは考え難い。また、働く役人の立場に立ってみても、
まともに仕事をしようという気が起きることは難しいでしょう。

第三に、近視眼的になりがちな、アフガニスタン人のメンタリティ。
この要因は長年の紛争に起因する面もありますが、残念なことに援助
コミュニティが形作ってしまった側面も否めません。
例えば、1年先に自分の子どもが学校に通えるようになることよりも、
今自分が労働者として仕事を得られないのであれば、学校の建設工事を
妨害してやる!という村人もいます。

この他にも、所属している機関毎に、特有の問題があると思われます。

例えばNGOの場合、コミュニティと共同で事業を実施することから、
村人の争いに直面することがままあります。
これはどこの国でもNGOであれば出会う問題だと思いますが、
アフガニスタン特有なのは、そこに「コマンダー」と呼ばれる旧兵士が
絡んでくることが多いことが挙げられます。

悪化する治安、高まるストレス環境、なかなか進まない仕事・・・・。
そのような状況が終わりなく続くようにみえるため、支援する人びとの間に
援助疲れが発生し、高まっていくと考えられます。

激しい治安事件や高ストレス環境を原因としているのかもしれませんが、
最近国際スタッフのターンオーバー期間が短いように感じられます。

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2008年7月 9日 (水)

気になること①:援助疲れ(その1)

皆さんこんにちは。JENカブール事務所長の柴田哲子です。

さて、前回少し触れた「気になること」。
今日は「援助疲れ」についてです。

アフガニスタンの人びとの間に漂っている援助疲れ。
それだけでなく、支援する側にも同じような気配が
漂っているように感じました。
なんというか、倦怠期の夫婦のような感じ?

これについて、少し考えてみたいと思います。
まずはアフガニスタンの人々の間に蔓延する援助疲れの要因について。

アフガニスタン支援が本格化した2002年以降、大々的に表明された
支援金額や津波のように押し寄せた国際支援。
それらを前にして、アフガニスタンの人びとは、長く続いた紛争が
終結し、遂に平和が訪れ、そして自分たちの辛く苦しかった生活が
ドラスティックに改善すると期待しました。

しかしながら、その後何年経っても目に見えて良くはならない生活。
治安などはむしろ悪化傾向にあります。

一方、アフガニスタンの紛争の歴史に目を向けてみると、
紛争が続いてきた期間が四半世紀以上と著しく長かったこと等から、
本来あるべきインフラが殆ど整っていない状況です。
首都のカブール市内ですら、中心の道路から一本脇道に入っていくと、
舗装もされていない轍だらけの道路になるような状況。
つまり、インフラ整備の状況だけで見てもマイナスの状態なのです。

仮に「復興」を「ゼロ(=元々あった状態)に戻すこと」と定義すると、
アフガニスタンの場合、復興してもゼロにはならないのです。

マイナスからゼロへ、そしてゼロからプラスへ。
本来は段階を踏んでいくはずのものが、表明された巨額の支援金額や
津波のように押し寄せた国際支援を目の当たりにし、
アフガニスタンの人びとの間に、短期間にマイナスから一気にプラスになる、
というような現実離れした期待感が高まってしまったということは
想像に難くありません。

しかしながら、そのような期待が、何年経っても満たされない。
その苛立ちの気持ちが、援助疲れの気持ちとして、徐々に
蔓延しているように感じ取れます。

長くなったので、後半はまた次回!

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