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2008年9月22日 (月)

いのちの価値

皆さんこんにちは。JENカブール事務所長の柴田哲子です。

先日、Human Rights Watchが、“‘Troops in Contact’:
Airstrikes and Civilian Deaths in Afghanistan”

というレポートを発表しました。

同レポートによると、2006年~2008年7月の約2年半で、
アフガニスタンでは3,102人の民間人が、テロや米軍等の
誤爆の被害を受け亡くなっているとのこと。

うち、少なくとも724人が米軍やNATO軍の誤爆による直接の
被害者だそうです。

同レポートの内容を要約すると、

・空爆被害により、国内避難民の増加を招いている。

・空爆には「計画的空爆」と、地上部隊応援のために急遽出動を
 求められる「突発的空爆」の二種類があり、一般市民の被害は、
 前者では殆どなく、後者のケースで著しい。

・「突発的空爆」の場合、国際人道法の、一般市民の人命被害を
 最小限に止める義務に従っているか疑問の余地がある。

・タリバンやアルカイダ等の反政府勢力も、意図的に一般の村に
 逃げ込むことで、一般市民の犠牲者を増やしており、これも
 国際人道法に反する行為である。

・米軍やISAFによる市民の犠牲は、米軍やISAF軍に対する憎悪を
 増加することに加え、反政府勢力に対する支持の増加につながる
 可能性もある。

===
9.11の記念式典では、多くの犠牲者の家族が、愛する人の死を
悼んでいました。
そしてその様子はCNNやBBC、その他のメディアを通じて世界中に
放映されました。

一方、アフガニスタンの村では、世界からの注目等殆ど集めない
中、さまざまな悲劇が、9.11の犠牲者と同じように普通の日常を
営んでいた人たちに、突然降りかかっています。

家族の誰かが突然亡くなる悲劇。
自分自身が大けがを負う悲劇。
なんとか生き延びても、家や家財道具を一切失い、暮らす当てが
なくなってしまう悲劇。
もしくは、またいつ攻撃があるかもしれないという恐怖感のため
村を捨てなければならなくなった悲劇。

例えば、先述のレポートでは、以下のような事例が挙げられています。

2007年3月4日、カピサ州のニジラブ地区では、土造りの家に
投下された米軍機による2発の2,000ポンド(約1トン)の爆弾により、
9人の民間人(女性5人、子ども3人、老人1人)が死亡した。

生存者である7歳のムジブ君は、ジャーナリストに対しこう語った。
「僕はお母さんと妹と弟とおじいちゃんが死ぬのを見たよ。
 僕たちの家も壊されたんだ。」

その後の報道によると、同日朝、地元のタリバンリーダー達が
ニジラブの軍施設に対しロケット弾を発射、被害者はなかった。
その後、米軍機のパイロットが、ライフル銃を持った2人の男が
周辺地域から民家に逃げ込んだのを確認し、米軍による1時間に
わたる迫撃砲の集中砲火が行われ、最終的に2発の爆弾投下に
終わった。

同レポートでは、米軍は攻撃対象となった民家には民間人が
居住していることを知っていた可能性があり、国際人道法に
抵触すると指摘しています。

ちなみに、約1トンの爆弾2発とのことですが、先日の大災害となった
イスラマバードのマリオットホテルでの自爆テロで使用された爆薬の量が
1トンだったと言われています。その際の被害映像や、10km離れた場所で
体感できた振動や爆音などからも、1トンの爆弾による破壊力の大きさを
推察できます。
しかも、米軍が使用する爆弾なので、マリオットのケースに比べ、より
効率性の高いものだったと考えられます。

===
3,102人の被害者それぞれに、家族があり、生活があり、人生がありました。
いままた忘れられつつあるアフガニスタンで、今日も起きている悲劇です。

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